一級建築士事務所 佐藤靖生建築研究室 blog         

府中市の設計事務所、耐震診断、耐震補強設計、監理もお任せください           1

 家族の集う場所

  • 良い家のイメージが一人歩き。

一般に「良い住宅を建てる云々」の話の中で、建物だけに重きを置いている風潮があることが気になります。まあ論点を絞ることに異論は無いのですが、私は建物以前に家庭のライフスタイルがあってその上での住宅であると考えます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 家族の団欒から生まれるライフスタイル

家族が集まる場所は家庭によって様々でしょうが、我が家は北側の食堂の大きなテーブルが集いの場所です。
我が家は紺屋の白袴で、特に洒落た家ではなく「丈夫だけが取り得」の古い家です。台所は昔ながらの家の北側で、とても寒い。
妻とは普段はすれ違いが多いのですが、この正月休みは向かい合わせで話をする時間が取れました。妻は大きなテーブルで新聞を広げて細かく読むのが日課で、その合間に私と家族のこと、仕事のことなど話し合います。
私はというとテーブルの隅でノートパソコンを広げて、仕事のような遊びのような、、どこまでが仕事でどこからが遊びなのか分からない時間を過ごします。同じ空間を共有し、お互いの趣味や作業をしながらのコミュニケーションですが、ほとんどは妻が一方的に話し私が聞き役になります(笑)
わざわざ寒い台所で、厚着しながら妻と話をしているのも妙なのですが、キッチンは「集う場所」として我が家では重要です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しかし、勉強など子供達も忙しく銘々に勝手な時間を過ごしているのが現実で、ちょっと機になる部分でもあります。なるべく家族全員でテーブルを囲む様に指導していますが必ずしも守れない時もあります。そんな時、私が家にいる時は子供達と一緒にテーブルに座って話だけはするようにしています。一人での食事は良くないと考えてのことです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は「家は住まう器」という言葉を良くつかます。様々な時間をその時々に合わせて、時間を越えて臨機応変に対応可能な家のイメージで、部分的なミニマムな部分ではなく家とその環境全体を考えて欲しいとの望みも有ります。
家はハード、その中に装われる料理がソフト。家族の団欒や「和」がソフトなのです。器と料理の両方が揃わなければ美味しい料理が成立しないことと同様に。良い住まいには家族の「和」が必要と考えます。そんな家族の団欒から生まれる「和」が明確なライフスタイルにつながり家造りプランの根幹となります。
凄く遠まわしな言い回しですが、先にハードとしての家そのものが一人歩きしていて器である家の中に装われる料理(ライフスタイル)が見えてこない、、、そんな気になる事が多いのです。